近視・遠視・乱視(屈折異常)

近視とは

近視とは

①正視

近視・遠視・乱視のない、裸眼で遠くが良く見える状態です。

②軸性近視

近視の大部分が軸性近視で、目の長さが長すぎることで網膜の手前でピントが合ってしまいます。

③屈折性近視

水晶体や角膜の屈折力が強すぎて、遠くを見るときに網膜上でピントが合わず、網膜の手前でピントが合います。

近視の原因

①遺伝的な原因

遺伝的要素が複雑に絡んで近視が進行するとされ、両親が近視の場合は子も近視になりやすいとされています。

②環境的な原因

パソコンやスマートフォンなどの画面を眺める時間が長いほど近視が進みやすく、外で遊ぶ時間が長い子どもほど近視が進みにくいと言われています。

近視の症状

近視の症状

近くのものははっきりと見えるのに、遠くのものは見えにくいのが近視の症状です。小学生の中ごろから進行する軽度・中等度の近視の単純近視と、幼児期から進行し始め、遺伝の関与が大きいとされる病的近視があります。

近視の進行予防

近視になったときの対処方法として、「眼鏡」・「コンタクトレンズ」のほかに、「オルソケラトロジー」「多焦点ソフトコンタクトレンズ」などがあります。また、お子さんの近視の進行抑制治療として「低濃度アトロピン点眼」の併用も行っています。日常生活における進行予防の方法としては、以下の通りです。

近視の治療

近視の治療
①眼鏡

装着が簡単・眼に触れなくて良いというメリットがあります。しかし通常の眼鏡はピントを合わせ見えるようにしているだけで、近視の進行を抑制する事は出来ません。むしろ、場合によっては近視を進行させている可能性があります。

②コンタクトレンズ

裸眼であるのと同じ見た目で、視野が広い・スポーツなどに影響がない・強度の近視や乱視にも対応できるというメリットがあります。しかし、目に触れる医療用具であり、正しい扱いや管理が必要です。
現在、日本には近視抑制治療の認可を受けた製品はありませんが、既に海外で認可をうけている製品と同じ、もしくは同等の製品を用いて近視抑制治療を行います。

伊丹中央眼科では「オルソケラトロジー」や「多焦点コンタクトレンズ」に「低濃度アトロピン点眼」を組み合わせて、近視の治療にさらに一方踏み込んで、学童期の近視進行抑制の治療を行っております。

伊丹中央眼科の近視の治療

①オルソケラトロジー

寝ている時に装用し起きたら外すという特殊なコンタクトレンズを装用して、角膜を平坦化させて近視や乱視を矯正していきます。日中は裸眼で十分な視力を得られると共に、近視の進行を抑える効果があります。

オルソケラトロジーについて詳しくはこちら

②多焦点ソフトコンタクトレンズ

既に近視が強くオルソケラトロジーを適応できない場合は、近視進行抑制効果が期待できる多焦点ソフトコンタクトレンズを用いて治療します。お子さまの年齢、近視の強さなどを考慮し、最も適するレンズを選びます。

多焦点ソフトコンタクトレンズについて詳しくはこちら

③二重焦点眼鏡、特殊眼鏡

”どうしても目にものを入れるのは無理!”という場合は、コンタクトレンズが装用出来るようになるまで、「二重焦点眼鏡」(遠用と近用部分がハッキリ分かれているタイプの遠近両用眼鏡)を用います。海外では近視進行抑制治療用の特殊眼鏡の開発が進んでいますが、残念ながら現在のところ日本で入手できるものはありません。

④低濃度アトロピン点眼

1日1回の0.01%アトロピン点眼薬には、近視進行を抑制効果が認められています。しかし点眼の単独治療では十分な抑制効果を得ることが出来ません。伊丹中央眼科では光学的治療(オルソケラトロジー、多焦点ソフトコンタクトレンズ、二重焦点眼鏡など)を補助する併用薬として処方しています。高濃度のアトロピン点眼薬を希望する方もいらっしゃいますが、高濃度のアトロピン点眼には中止すると急速な近視化が起こるというリバウンド問題があり、眩しさなどの不快症状も出現します。光学的治療を行わず、アトロピン点眼薬の濃度だけ上げることに意味は無いと考えています。

低濃度アトロピン点眼について詳しくはこちら

遠視とは

信号、テレビなど、見ている像が網膜にピントが合わずに、網膜の後ろで焦点を結んでいる状態を、遠視と言います。
網膜から離れれば離れるほど遠視が強くなります。視力低下・かすみ・眼精疲労などの症状が見られます。
中等度以上の症状では、遠くも近くもぼやけて見えにくい状態となります。絶えずピントを合わせる調整をしているため、眼と身体が疲れやすく、集中しにくくなります。

遠視の原因

遠視の原因によって、「屈折性遠視」と「軸性遠視」と大きく2種類に分けられます。眼のレンズの屈折力が低い遠視が屈折性遠視、眼球の奥行が短い遠視が軸性遠視となります。

遠視の症状

年齢によって大きく異なります。これは調節力がある(若いころ)か、無いか(老眼)によるからです。軽度の遠視は、若いころは苦になりませんが、(遠くがなんとか見えやすいものの)だんだん近くが見えにくくなってきます。
中等度以上の場合、遠距離も近距離もぼやけて見えます。眼が非常に疲れやすくなります。凸レンズ眼鏡やコンタクトレンズを装用すると、はっきりと見えます。裸眼視力は良いですが、眼の疲労が生じやすいとされます。

子供の遠視

子供の遠視

子供は調節力があるので、ある程度遠視のハンディを克服できます。しかし、近くが見えにくい傾向があり、眼が非常に疲れやすい、勉強に集中できない、等の症状が出ることがあります。網膜に像の焦点が合わないので、高度の場合は弱視になることがあり、特に小児眼科として早期発見・治療が必要になります。

遠視の治療

子供の遠視で弱視治療には凸レンズ眼鏡は必須です。凸レンズ眼鏡はかけると目が大きく見えるため、見た目のことを気にされる親御様もいらっしゃいますが、遠視を放置して網膜にピントが合わない状態で10歳くらいまで治療をしないと弱視は固定してしまいます。弱視治療のため頑張って眼鏡を装用するよう、当院では寄り添って治療にあたっています。
大人の遠視の場合、そのままではひどい眼精疲労が起こることがあり、眼鏡そしてコンタクトレンズが有効です。

乱視とは

通常、角膜は縦方向にも横方向にも同じようにカーブしていますが、乱視の場合は方向によって違うカーブが違うので、焦点を一点に合わせることができません。
乱視は屈折異常のひとつのため、対象物がぼやけて見えます。
不正乱視の場合は、角膜表面に凹凸があるため、正常に像結ばれない状態です。

乱視の症状

対象物がぼやけて見えます。正乱視は、一方向の線のみはっきりと見え、他方向はぼやけて見えます。

乱視の原因

角膜は柔らかい人体の一部で、精巧に磨かれた硬いレンズとは異なりますので、乱視が全くない目というのはありません。しかし方向により角膜のカーブの差異が大きい目があります。通常、お顔がひとにより異なるように、角膜の形もひとによりそれぞれだからです。
一方、病気で乱視がひどくなることもあり、代表として円錐角膜があります。

乱視の矯正・治療法

手軽で安全な矯正方法は眼鏡の装用です。正乱視の場合は、円柱レンズを使用します。
また、乱視用のコンタクトレンズも有効です。当院ではさまざまなコンタクトレンズを用意して、患者様の多様な乱視に対応しています。(詳しくはこちら)
不正乱視には、ハードコンタクトレンズが有効です。角膜表面の不規則な凹凸をハードコンタクトレンズが矯正します。(詳しくはこちら)
また当院では白内障手術の際に、角膜の乱視を治す特別な眼内レンズを用いることによって、白内障手術で、白内障、近視遠視、そして乱視を合わせて治す治療を行っています。